① この写真は平成5年に、治療完了後の状態の確認のために撮影したもので、治療はその前年に行われています。簡単に説明すると、歯の残存状態が上顎は大臼歯(奥歯)3本のみ残して11本が失われ、下顎がその逆に大臼歯全てと右下の犬歯とその後ろも含めて合計6本が失われ、上下で互い違いの関係の、すれ違い状態になっていました。
上顎は大臼歯3本が比較的しっかりとしていたので、それを支えとしたシリンダータイプ(コーヌス)義歯にて全歯を、下顎は両側の大臼歯部に、当時良く使われていた“人工サファイヤ”のU字型をしたタイプと、右下犬歯部にはチタンコートのブレード型POIインプラントを採用し、隣在歯と連結することで欠損補綴を行い、崩壊した状態の口腔内と、失われてしまった状態の咬み合わせの再建を図ったものです。
参考までに、これらの比較的初期の“人工サファイヤ”インプラントの場合、現在主流となっている、直接チタンと骨が結合する「オッセオインテグレーション」や、ハイドロキシアパタイトを介して骨と結合する「バイオインテグレーション」のような骨との結合関係はありません。
しかし、限りなく滑沢なその表面性状は、口腔内においても汚れを寄せ付けないという長所でもありました。また、骨との直接な結合関係こそ無かったものの、インプラント治療後数年を経過していた下顎の大臼歯部の症例において、その隣在歯の殆どを喪失しながら、“人工サファイヤ”タイプのインプラントのみが単独で強固に残存していたような症例も、自分自身の目で直接確認しており、このインプラントの性質が現在主流のものと比較して必ずしも劣るものではないと、実体験上思っています。
近年、インプラント治療を始めた先生方では、この“人工サファイヤ”タイプのインプラントはもとより、ブレード・タイプのインプラントの現物を見たことも触ったこともないという方が殆どかと思われますので、こうしたお話も、ちょっと想像がつきかねるかもしれませんね。 |